そんな疑問にお答えします。
私はゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いはなく、呼び方の違いだけだろうと思っていました。
それは単なる思い込みで、実はゲレンデヴァーゲンは、gクラスとまったく違うモノ。
ある年代を境に、ゲレンデヴァーゲンからgクラスへと進化していったのです。
しかし、です。
全く違うモノといっても、いくつかの共通点もあります。
そこでこの記事には、ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いについて紹介しています。
この記事を読んでいけば
- ゲレンデバーゲンとgクラスの違い
- メルセデス・ベンツのクラス分け
- クラス分けの法則
を、知ることができるでしょう。
ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いを、ただ読み進めても面白くありません。
名探偵になったつもりで、ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いを推理しながら、読み進めて下さい。
そうすることで、ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いが、頭の中に「スーッと」入ってきますよ。
目次
「軍用車or一般向け」ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違い
先にネタバレをすると、ゲレンデヴァーゲンは軍用車両として。
一方gクラスは、一般向けにオフローダーとして開発された車です。
早速、ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いを深堀していきましょう。
軍用車両のゲレンデヴァーゲン
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ゲレンデヴァーゲンは、ドイツのメルセデス・ベンツ社と、オーストリアのシュアタイア・ダイムラー・プフ社が共同で制作した「軍事用車両」です。
1979年、NATO軍(北大西洋条約機構)に採用された車になります。
採用された理由は、オンロードも快適に走れるオフロードカーというコンセプトがNATO軍に認められたからです。
その走りは、NATO軍が認めるほどの高い走行性能でした。
ゲレンデヴァーゲンは、後にライバル車となる、ランドローバー社の初代レンジローバー(1970年登場)を意識しています。
意識した結果、レンジローバーにない、ショートボディーやカブリオレ等のボディータイプをラインラップに入れ、差別化に成功しました。
車名のゲレンデヴァーゲンは、ドイツ語でオフローダを意味する「ゲレンデヴァーゲン」から名付けらています。
このゲレンデヴァーゲンを一般車向けに仕立て直したのが初代gクラス(W460型)となり、今もなおゲレンデヴァーゲンという愛称で呼ばれています。
正式にゲレンデヴァーゲンと呼ばれる車両は、1979年~1990年までに発売されたW460型だけです。
gクラスは一般向けのオフローダー
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1990年、W460型からW463に移行したときに、手動で2WD/4WDを切り替えるパートタイム式からフルタイム4WDとなりました。
外装は、オーバーフェンダーとサイドステップが装備され、軍用車から乗用車向けの内装に仕上げています。
この仕様の変更でゲレンデヴァーゲンは、軍用車から一般向けのオフロードへと舵を切りました。
そして、1994年以降にメルセデスベンツの命名規則に従い「ゲレンデヴァーゲン」という親しみのある名前をすてて、「gクラス」と名称を変更したのです。
ゲレンデヴァーゲンの名前は消えましたが、ゲレンデヴァーゲンの志(こころざし)は今もなお持ち続けています。
gクラスの「g」という頭文字は、ゲレンデヴァーゲン(geländewage)の頭文字から取って付けられているからです。
2018年に約40年ぶりとなる、フルモデルチェンジ並みの大幅な改良が施され、ボディーをより軽くし、9足ATを採用しました。
レーダーセーフティパッケージをはじめとする安全運転システムも搭載しています。
ヘッドライト・リアコンビネーションランプのLED化、全長と全幅の拡大による室内の拡張などが行われ、現行モデルとして君臨しています。
ゲレンデヴァーゲンの軌跡を紹介している動画です。
技術が進化する中、初代から変わっていないところが垣間(かいま)見えます。
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gクラスの他には何がある?「ベンツのクラス分け」
gクラスは、メルセデス・ベンツが取り扱っているグレードの中の1つにすぎません。
gクラスの他に
- aクラス
- bクラス
- cクラス
- eクラス
- sクラス
あり、gクラスを合わせ6クラスあることになります。
gクラス以外のクラスを詳しく見ていきましょう。
aクラス
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aクラスは、1997年から製造及び販売されている5ドアハッチバックがメインのクラス。
メルセデス・ベンツが扱っている車種の中では、最も小型のハッチバック型の車になります。
aクラスはもともと、蓄電池や燃料電池を動力源とした電気自動車用として設計・開発されました。
蓄電池や燃料電池を搭載するため、フロアーが「サンドイッチコンセプト」と称する二階建て構造となっているのが特徴的です。
しかし、です。
燃料電池の開発の遅れ、車載高圧タンクの容量問題、インフラ整備の遅れなどの問題が発生。
これらの問題を解決するには時間がかかるため、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンを搭載したメルセデス・ベンツ史上初となるFF車として発売されます。
メルセデス・ベンツのエントリーモデルを担(にな)っているとは思えない、上品なスタイリングやインテリアが発売当時話題となりました。
エントリーモデルということでaクラスは、アルファベットの一番最初の文字「a」から、名付けれれています。
aクラスは、小型車とは思えない動力性能を有し、高級ブランドならではの快適性も確保されています。
bクラス
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bクラスは、2005年から製造及び販売がされている5ドアハッチバックです。
aクラスとcクラスの間にあるモデルということで、bクラスと名付けられました。
メルセデス・ベンツでは「コンパクトスポーツツアラー」と呼ばれ、価格や利用用途を考えるとcクラスのステーションワゴンに近い感じがします。
bクラスはaクラスと異なり、主にアメリカ市場での販売を念頭に入れて開発されたと言われていますが、アメリカでの販売を断念します。
販売を断念した理由として、競争力のある価格設定が出来ないことと、小型な安価のモデルを展開することでブランドのイメージが崩れるからです。
日本におけるメルセデス・ベンツの販売台数は、1位eクラス・2位sクラス・3位のcクラスに次いで第4位。
しかし、bクラスの新型に乗れるのもあとわずかです。
メルセデス・ベンツが電気自動車や上級車に力を入れるために、aクラスと共に2025年に廃止されることが決まっています。
cクラス
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ラグジュアリーなコンパクトカーというコンセプトで開発されたcクラス。
コンパクト( Compact)の頭文字をとって、cクラスと名付けられました。
cクラスは、メルセデス・ベンツが取り扱っている車種の中で、最も販売台数が多い基幹(きかん)モデルとなります。
スタイリングの美しさをはじめ、インテリアの上質感は、上位モデルと比べても遜色はありません。
1993年に190シリーズ(W201)の後継車として登場したW202から、cクラスと呼ばれるようになりました。
始めは、4ドアのセダンのみ。
1996年にステーションワゴン、2011年にクーペ、2016年にはcクラス歴代初のカブリオレが誕生します。
現在のcタイプのボディーは、セダン、カブリオレ、2ドアクーペ、ステーションワゴンの4種類。
派生モデルとして、オープンスポーツのSLC、クロスオーバーSUVのGLC、GLCの4ドアクーペになるGLCクーペがあり、どれを選ぼうか迷ってしまいます。
エンジンは1.5リッターガソリンエンジンと2.0リッターディーゼルエンジン、プラグインハイブリッドの3種類。
一部車種を除き、日本国内で販売されているcクラスの新車には、「メルセデス・ケア」と呼ばれる3年間の購入保証システムが付属しています。
eクラス
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メルセデス・ベンツの中核モデルで、その歴史は古く1936年に展開し始めたW136まで遡(さかのぼ)ります。
eクラスの「e」は、1950年代に現れた最新燃焼噴射技術、「Einspritzung」(ドイツ語で燃料噴射の意味)の頭文字をとって名付けられました。
eクラスと呼ばれ始めたのは、1993年から。
それ以前は、「ミディアムクラス」と呼ばれていました。
eクラスのエンジンは、5種類も用意されています。
- 2.0リッター直列気筒ターボエンジン(ガソリン)
- 2.0 L直列4気筒ターボエンジン(ディーゼル)
- 1.5 L直列4気筒ターボエンジン+ハイブリッド
- 2.0 L直列4気筒ターボエンジン+プラグインハイブリッド
- 3.0 L V型6気筒ツインターボエンジン
プラグインハイブリッドでは、エンジンに世界初となるディーゼルエンジンを搭載したことで話題となりました。
sクラス
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sクラスは、特別な車です。
それもそのはず。
sクラスのsは、「Special」の頭文字から取って名付けられているからです。
sクラスの歴史はどのクラスより古く、1972年に登場するW166から「sクラス」と呼ばれていました。
sクラスは、メルセデス・ベンツが取り扱っている車種の中で、最上級のグレードと思いでしょう。
実は違うのです。
2002年にメルセデス・ベンツの傘下となった、「マイバッハ」が最上級機種になります。
とはいえ、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルには変わりありません。
フラッグシップモデルとは
司令官が乗る軍艦・旗艦のことで、そこから転じて最上級の製品を意味し、メーカーの最上級のモデルのことを指します。
エンジンは、3.0リッター、4.0リッター、6.0リッターのガソリンエンジン、3.0リッターのディーゼルエンジン、プラグインハイブリッドの3種類。
ボディタイプはセダン、クーペ、カブリオレが設定され、セダンにはロングホイールベースで後部座席に広い空間をもたせた、ロングモデルもあります。
フラッグモデルの名にふさわしい仕様です。
「法則がある」車名でわかるクラスの違い
gクラスもそうですが、メルセデス・ベンツは、アルファベットと数字を組み合わせた車名を持っています。
アルファベットと数字の組み合わせには法則があって、その法則が分かれば車名が分かります。
探偵になった気分で、法則について紐を解いていきましょう。
戦前は数字を活用
車名のルーツを探ってみると、戦前まで遡(さかのぼ)ります。
黎明期(れいめいき)には、エンジンの馬力がそのまま車名に使われていました。
その後は、排気量やボディタイプ、あるいはエンジンの種別が加わっていきます。
例えば、昭和天皇が乗っていた車。
昭和天皇は、メルセデスベンツタイプ770を御料車として、1932年〜1968年の36年間使用していました。
メルセデスベンツタイプ770の「770」は、「7.7リッターのエンジン」という意味です。
ちなみに770Kという車両も御料車として使用していて、Kはドイツ語で空気圧縮機(スーパーチャージャー)を意味するコンプレッサー(Kompressor)の頭文字を取っています。
メルセデスベンツタイプ770みたいな大型車以外に、メルセデス・ベンツは早くから、コンパクトな実用車を作っていました。
ニューヨークのウォールストリートに端を発する大恐慌で世界が混迷していた1929年には、1,692ccのコンパクトな「170」を。
その後は、さらにコンパクトな「130H」を発売します。
130Hの「130」は、1.3リッター、「H」はドイツ語でリアエンジンを意味する「Heckmotor(ヘック・モトール)」の頭文字を取っています。
戦後はアルファベットを活用
数字は、エンジンの排気量や出力を示し、記号は、車種やグレード、装備などを示していますが、記号の位置は、年代によって変わってきました。
最初にSという記号が使われたのは、1956年に発売された「220S」です。
Sは「Super」の意味で、エンジンの高出力化を表していました。
同時に発売された「220SE」のEは、燃料噴射装置を備えたモデルを意味する「Einspritzung」の頭文字です。
1965年に発売された「300SE/300SEL」(W108/W109)は、「Sクラス」の始まりと言われています。
「S」はフラッグシップモデルを表し、「L」はロングホイールベースを表していました。
あともう一つ、記号性という意味で付け加えるとしたら、「C]はクーペ、「G」はSUV、「T」はワゴンの意味を持たされています。
メルセデス・ベンツの車名は年代により、数字の前に記号を置いたりあとに持ってきたりと、数多くの変遷(へんせん)があったことが窺(うかが)えます。
現在はより複雑に
まずは、この動画を見て下さい。
メルセデス・ベンツの車名の法則を解説した動画になります。
出典:YouTube
メルセデス・ベンツは、2015年からラインナップ拡大に伴い車種名を新しくしました。
現行の車種名は、ベンツGLKやベンツSLK、ベンツCLSなどアルファベットが多くなり、お世辞でも分かりやすい表記ではありません。
そこで、シンプルで分かりやすくするために、車種名の変更に踏み切ったのです。
既存のクラスである「a」、「b」、「c」、「e」、「s」をコアとし、シンプルで分かりやすくしました。
始めにくるアルファベットは、車体名を表しています。
- G・・・SUV・クロスカントリー
- CL・・・クーペー
- SL・・・ロードスター
となります。
この後に続くアルファベットが、新しくなりました。
「S」、「E」、「C」、「B」、「A」の順番でランク付けされます。
例えば、ベンツGLS。
車体が、SUV・クロスカントリー車で最高ランクの車種ということです。
セダンやハッチバックはこれまで通り、Sクラス、Eクラス、Cクラス、Bクラス、Aクラスとクラス別で呼ばれます。
ここの部分が、すこしややこしいですね。
そのあとに数字が来ますが、その数字は今までと変わらず排気量を表しています。
そして、数字の後に続く文字も新しくなりました。
- c・・・圧縮天然ガス車
- d・・・ディーゼル車
- e・・・電気自動車
- f・・・燃料電池車
- h・・・ハイブリット車
上のようなアルファベットで、パワートレインの種類を表すようになりました。
4MATICは今までと変わらず、4MATICのままです。
突然ですが、皆さんが理解したかどうか確認するため、クイズを出します。
CLS220dとは、どの様な車でしょうか?
皆さんは、もうお分かりですよね。
答えは、Sランク(最上級)のクーペで、排気量2,200ccのディーゼルエンジンとなります。
【意外】ゲレンデヴァー ゲンと gクラスの違いは、たったこれだけ:まとめ
まとめとしまして
- 「軍用車or一般向け」ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違い
- gクラスの他には何がある?「ベンツのクラス分け」
- 「法則がある」車名でわかるクラスの違い
を、紹介してきました。
ゲレンデヴァーゲンとgクラスの違いは、ゲレンデヴァーゲンは軍用車両、gクラスは一般車向けのオフローダーだとわかりました。
現在、色々な意味でゲレンデヴァーゲンに乗ることは難しいです。
ゲレンデヴァーゲンに乗っているイメージを持ちながら、gクラスに乗車してみてはいかがでしょうか。
きっと、ゲレンデヴァーゲンが開発された当初の風景が、思い描けると思います。